賃貸借:民法改正

LIBRA 2018.4を参考に

 


賃貸借ルール(民法改正点)

1 存続期間の上限伸長
 20年→50年へ

 

2 目的物一部滅失時ルールの見直し
①賃借人の帰責事由によらない目的物の一部滅失
 →当然に賃料減額(新法611条1項)
②一部滅失により使用収益が不能となり目的達成できない場合、賃借人の帰責事由の有無にかかわらず、賃借人は契約解除可能(同2項)。
 帰責事由がある場合は、債務不履行の一般原則(賃貸人による損害賠償請求)

 

3 賃貸人たる地位の移転およびその留保
 対抗要件を備えた不動産賃貸借人につき、賃貸人たる地位を譲渡人に留保できるように(新法605条の2)
 →一種の転貸借関係が作られることに。転貸借新法613条の適用は解釈に委ねられる)
 譲渡人・譲受人(またはその承継人)間の賃貸借が終了すると、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は譲受人に移転(新605条の2)。
 ∵従前の内容で賃借人の地位を保持できるようにした。賃借人保護

 

4 不動産賃借人による妨害の停止の請求等
 対抗要件を備えた賃借人による、賃借権に基づく妨害排除請求権・返還請求権が明文化(新605条の4)。
 対抗要件備えない場合は解釈に委ねられる。

 

5 原状回復義務
 賃借人による原状回復義務の明示(新621条)。
 あわせて、通常損耗や経年変化は義務の対象となる損傷に該当せず、また帰責事由によらない損傷もその対象外に。
 任意規定ではあるが、消費者である賃借人との関係では、本規程よりも消費者に不利な特約を設けても、消費者契約法10条により無効となる可能性あり。

 

6 敷金
 敷金の定義、返還債務の発生時期、充当の規律が整備(新622条の2)。
 ただし従来の判例を明文化したということにとどまり、影響は基本的にないか。
消費者契約法につき原状回復義務に同じ。
 なお「動産」賃貸借にも適用

 

7 経過措置(附則34条)
 施行日以後に締結された契約に適用される。
 しかし施行日前に締結された契約であっても、604条2項(更新の上限)は施行日後に更新合意がされるとき、605条の4(賃借人による妨害請求)は施行日後に妨害があったときに適用される。