定年後の再雇用に関する規制

【R3.4.1時点】

●~65歳までの雇用確保について

・義務

①定年の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年制の廃止のいずれかを実施する義務あり。

・継続雇用制度における採用条件の設定

厚労省

 平成25年3月31日までに、労使協定により対象を限定する基準を定めていた事業主については、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めて良い(R7年には完全終了)。

 但し、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しないことも可能

└けっこうハードル高い

(下書き)賃貸借契約終了に伴う物件明渡義務と原状回復義務の関係

【結論】

原則、原状回復未履行でも、支配うつれば明渡義務完了。

現実的にも、物件の鍵を返せばひとまず明渡(賃料終了)と扱われ、その後原状回復が行われがち。

但し、明確な特約があれば別論(後記裁判例参照)

 

【例外】

新たな賃貸借の妨げとなったり、賃借人に過大な工事の負担が生じるような、重大な原状回復義務の違背がある場合

->例外的に明渡義務の不履行に当たる場合もありうる

 

【実例】

東京地裁H18.12.28判決

 また原告は,本件不動産にはパーテーションや書棚が撤去されていないから,明渡しがあったとはいえないと主張する。
 しかしながら,上記認定のとおり,本件不動産内のパーテーションや書棚は床等に固定されているものと認められるから,それを撤去することは賃借人の原状回復義務として必要となるが,民法上,借用物の返還義務と原状回復義務は異なるものであり,後者が履行されなければ前者が履行されていない,という関係にはないというべきである。
 この点につき原告は,一般に,事務所の賃貸借契約においては,賃貸人はいわゆるスケルトンの状態で目的不動産を引き渡し,賃貸借契約終了に際しては賃借人が行った内装すべてを撤去して賃貸人に引き渡すのが通例であると主張する。確かに,一般にオフィスビルの賃貸借においては,次の賃借人に賃貸する必要から,賃借人には返還に際して賃貸借契約締結時の原状に回復することまで要求される場合が多いとしても,原状回復義務は目的物返還後に履行することも可能であるから,賃貸借契約において,目的物の返還に先立って原状回復することが定められていれば格別,そうでない限り原状回復義務が目的物返環義務に必然的に先行する関係にあるとはいえない。
 本件賃貸借契約のこの点の定めについてみると,証拠(甲1)によれば,本件賃貸借契約では,「本契約が期間満了もしくは解除等により終了したときは乙(賃借人)は次の各号の定めに従い遅滞なく貸室を明け渡さなければならない。」(16条柱書き)とされ,同条3号は「乙(賃借人)が模様替え等原状を変更した箇所およびこのビルディングの主体または付帯設備に固定した乙所有の物件はすべて撤去し原状に復旧するものとする。」とされており,原状回復義務が明渡義務の内容となっているかのように解される余地がある。しかしながら,そのように解すると,同号によれば,上記復旧工事は,賃貸人又は賃貸人指定の業者が実施することとされているから,賃貸人又は賃貸人指定の業者が必要以上の期間をかけて原状回復工事をした場合にも,その間は明渡し未了となり,賃借人はその間の賃料相当額及び諸経費を負担することになってしまい(同6号),合理的とはいえない。さらに,同条2号には,「乙(賃借人)はその所有の家具,什器等を契約終了後3日以内に搬出して貸室を明け渡すこと」とされており,家具,什器等の搬出をもって明渡しと考えており,明渡しと原状回復を別の内容と捉えているといえる。このように考えると,契約書16条の上記定めは,原状回復が賃借人の負担において行われるべきであり,かつその工事内容は賃貸人側が定めることに主眼があるのであって,原状回復義務を貸室明渡しの内容としたり,明渡義務に先行することまでを定めたものではないと解するのが当事者の合理的意思解釈として相当である。
    結局,賃借人がパーテーション等を撤去して原状に回復する義務と目的物である貸室を返還する義務は別個の義務であり,賃借人が返還したかどうかは,原状回復の有無とは別に検討すべきであるから,前記認定のとおり,平成18年7月末日をもって本件不動産は明け渡されたというべきである。

個人情報(下書き中)

個人情報保護法

 

個人情報

:①生存する、②個人に関する情報であって、③特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号がふくまれるもの(2条1項1号、同2号)

 

適用対象

個人情報データベース等を事業の用に供している者

 

個人データの取扱いの全部または一部を委託する場合には、受託者に対する「必要かつ適切な監督」を行わなければならない(法22条)

 必要かつ適切

 └委託先を適切に選定

 └委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約を締結

 └委託先における委託された個人データの取扱い状況を把握すること

 

個人データ

:個人データベース等を構成する個人情報

個人データベース等

:個人情報を含む情報の集合物であって、特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの/特定の個人情報を容易に検索できるように体系的に構成したもの

 (利用方法から見て個人の権利利益を害するおそれが少ないとして政令に定めるもの除く)

→受託者としては狭く、委託者としては広くとらえたい

 

個人データの第三者への提供

・取扱業者は、原則、本人の同意無く「個人データ」を第三者に提供してはならない(第23条1項)

(例外:法令の定め、生命・身体・財産保護のため必要かつ同意取得困難等)

 

オプトアウト(opt out)

:個人情報の第三者提供に関し、個人データの第三者への提供を、本人の求めに応じて停止すること。

また、提供にあたり予め目的・項目・手段方法・求めに応じて停止することを通知するか、またはこれらの事項を容易に知りうる状態に置いておくことを「オプトアウト方式」という。

この方式を利用するには、個人情報委員会への届出が必要

 

インターネットで公表されている情報の取扱

・公知の情報であっても、その利用目的や他の個人情報との照合など取扱の態様によっては個人の権利利益の侵害につながるおそれがあることから、個人情報保護法では、既に公表されている情報も他の個人情報と区別せず、保護の対象とされる(Q&A1-5参照)。

 

 

 

相続放棄

R040927加筆

 

★ 放棄

 

(書式類 裁判所HP

www.courts.go.jp

 

●放棄可能な期間(熟慮期間)

相続開始を知ったときから3か月以内(民法915条1項)
例外的に、請求により家裁で伸長可能。

 (相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

 

・「知った時」
相続開始の原因たる事実の発生を知っただけでは足りず、それによって自己が相続人となったことを覚知した時(大決T15.8.3)。
例外的に、承認・放棄をしなかったのが、a) 被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、b) 諸般の状況から見て、相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があり、c) そのように信じるについて相当な理由があると認められるときにおいては、熟慮期間は相続人が財産の全部または一部の存在を認識したとき/通常これを認識できるときから起算(最判S59.4.27)。
=(相続人であることの認識と、相続人として相続する財産の内容を認識しているか否かとは別次元であることを前提)

 

 

●再転相続の場合

例)甲が死亡し、乙が相続人になった(第一次相続)。しかし乙が承認・放棄等しないまま死亡し、丙がその相続人となった(第二次相続)。

 

・選択権

丙は、第一次相続、第二次相続それぞれについて、承認・放棄の選択権がある。

 

・熟慮期間

丙が、自らが相続人となったことを知ったとき(同916条) 

第九百十六条 相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

※ 再転相続における「知った時」

第二次相続により相続人となったことは認識していても、第一次相続について認識していない場合、第一次相続に関する熟慮期間は、それを知った時から進行する(最判R1.8.9)。

∵ 第一次相続について相続人となったことを知らなければ、それにつき財産調査および承認・放棄の判断を強いることはできない。

 

●放棄の撤回は不可(919条1項)

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
 前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。
 第二項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

 

代襲相続はしない

はじめから相続人とならなかったものとなるため、その子らへの代襲もない。

 

(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

(放棄に関連して)

★法定単純承認

相続財産の全部または一部を「処分」したとき、単純承認をしたものとみなされる(921条1号)。

 

・処分

相続財産に関し、経済的価値のある行為(但し管理行為は除く)は、基本的に「処分」に該当する。果実の処分も同様。法律行為に限られず、事実行為(例えば建物の取り壊し等)も含む。

一般的経済価額のある処分とは言えない(経済的に重要性を欠く)ような形見分けや、葬儀費用を相続財産から出す等信義上やむを得ない場合は除かれる。

例)

生前に代物弁済の予約がされていた不動産につき、相続人が承認・放棄申述前にそれを実行した場合→該当

相続人が被相続人の有していた債権を取立てて、これを収受領得する行為→該当

形見分けとして、交換価値を失う程度に着古した服を使用人に交付→非該当

形見分けとして、相続財産が相当多額であった亡夫の背広、外套を持ち帰り、また時計、椅子の送付を受けて受領→非該当

 

・処分の時期

相続の開始を知ってた後に行われた処分でなければならない。

∵ 知っていれば承認する意思があると推認できる

例)死亡後に建物を取り壊したが、相続の開始自体は知らなかった場合→非該当

 

 

 

 

反訴

反訴(民訴法146条)

(反訴)
第百四十六条 被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
 反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するとき。
 反訴の提起により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき。
 本訴の係属する裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、反訴の目的である請求が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項第一号の規定は、適用しない。
 日本の裁判所が反訴の目的である請求について管轄権を有しない場合には、被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と密接に関連する請求を目的とする場合に限り、第一項の規定による反訴を提起することができる。ただし、日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により反訴の目的である請求について管轄権を有しないときは、この限りでない。
 反訴については、訴えに関する規定による。

 

 

控訴審における反訴(同300条)

原則

:相手方の同意を要する。

 ∵ 審級の利益保護

例外

:第一審において、反訴の内容について実質的に審理が行われているといえる場合、 同意は不要

 

(反訴の提起等)

第三百条 控訴審においては、反訴の提起は、相手方の同意がある場合に限り、することができる。
 相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは、反訴の提起に同意したものとみなす。
 前二項の規定は、選定者に係る請求の追加について準用する。

 

 

●簡裁事件に対する、事物管轄を地裁とする請求の反訴(同274条)

・簡裁に係属している事件について、地裁管轄の事件の反訴が提起された場合、原告の申立てがあるときは、簡裁は地裁へ移送しなければならない。

→ということは、申立てがなければ簡裁で審理可能?

 

 (反訴の提起に基づく移送)

第二百七十四条 被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。この場合においては、第二十二条の規定を準用する。

2 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。

 

景表法における表示の主体

景表法

 

 表示の主体

「事業者は、自己の供給する商品又は役務について、次の各号に掲げる表示をしてはならない」(4条1項柱書)

 

●「事業者」としての主体性

∵一般消費者の信頼の保護

∴ 表示内容の決定に関与した事業者が該当

①A自らもしくは他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者

②B他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者

└他の事業者が決定した、あるいは決定する表示内容について、その事業者から説明を受けてこれを了承し、その表示を自己の表示とすることを了承した事業者

③C他の事業者にその決定を委ねた事業者

└自己が表示内容を決定することができるにもかかわらず、他の事業者に表示内容の決定を任せた事業者

 

例)

・小売業者

メーカー作成の商品・カタログをそのまま陳列、使用→主体とならない(×)

メーカーの説明をふまえてチラシ、ポップ、カタログ等を作成→主体になる(○)

※説明に基づいた表示物の作成を委託して、当該表示物を使用した場合(○)

・メーカー、卸

小売業者が消費者に示した表示の内容決定に関与している場合→(○)

・百貨店等と売り場を借りている販売業者

個別判断

①自己の名称を明らかに出店している者が、百貨店等の関与を受けずに、外で広告を行なった場合→(×)

②販売業者が百貨店等の一部門であるかのような携帯で行われる場合→(○ありうる)

 

 

●「自己」の商品等~該当性 

 (追記予定)

 

cf. 広告業者や場を提供しているにすぎない電子モール事業者

→原則として対象とならない。

∵他の事業者の商品等について宣伝等を行うにすぎない。

 

 

 

 

 

Q 商品の営業を委託し、委託先が広告を作成、表示した場合、委託先は「自己の供給する」~として規制の対象になるか?

A 可能性はあるが、結局は個別判断。

∵広告代理店より関与の度合いは強い。

 

Q 上記の場合、委託元は表示につき責任を負うか?

A 可能性はある。

∵ 丸投げしても責任を負う。

罰金と労役

罰金または科料の言い渡しをする場合、必ず労役留置についても言い渡さなければならない(刑法18条4項)。


(労役場留置)
第十八条 罰金を完納することができない者は、一日以上二年以下の期間、労役場に留置する。
2 科料を完納することができない者は、一日以上三十日以下の期間、労役場に留置する。
3 罰金を併科した場合又は罰金と科料とを併科した場合における留置の期間は、三年を超えることができない。科料を併科した場合における留置の期間は、六十日を超えることができない。
4 罰金又は科料の言渡しをするときは、その言渡しとともに、罰金又は科料を完納することができない場合における留置の期間を定めて言い渡さなければならない。
5 罰金については裁判が確定した後三十日以内、科料については裁判が確定した後十日以内は、本人の承諾がなければ留置の執行をすることができない。
6 罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置一日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に一日未満の端数を生じるときは、これを一日とする。)とする。